グループA Diary Day7 (9/12)
まず、富士通の川崎事業所を訪ねた。ここでは、富士通の技術について素晴らしい話を聞くことができ、それをきっかけに多くの議論をすることができた。展示スペースでは、富士通の過去の成功例から始まり、現在のプロジェクトまでを見ることができた。科学技術に馴染みのない人々にとって、これは非常に効果的な科学コミュニケーション戦略だと感じた。特に、コンピュータサイエンスに疎い私たちは、富士通のHPCの性能とアプリケーションに驚かされた。この見学は、津波についての学びを締めくくるにふさわしいものだった。津波の経済的な側面や、地域との関係性、人々の抱く感情、実際に被害を受けた現場を目の当たりにした後、軽減策などを学び、未来に目を向けることができたのはよかった。
AIのプレゼンテーションについては、説明責任、社会問題、プライバシーについて、グループ内でディスカッションが行われた。これは、初日の柏キャンパスでの佐藤良治先生の講義を思い起こさせた。佐藤先生の講義では、AIの意識について議論したが、今日の私たちのグループでも、AIに関する同様の倫理的問題について話し合った。例えば、交通カメラのデータにAIの画像処理技術を適用した場合、多くの個人情報が流出する可能性がある。発表者は「プライバシーを侵害しないよう、人を形として捉える」と説明していたが、私たちはこの技術が悪意を持って使われた場合、何らかの危険性があるのではないかと考えた。Yiningによれば、中国ではAIカメラや決済手段が多く使われているという。グループの中には、企業や政府にデータを提供することは許容できると感じている人もいれば、本来は望まないが仕方なく応じているという人もいた。AIと社会問題については、かなり慎重であるべきだろうと考えられた。
司会者の、「AIによって雇用が失われるとは考えていない」という発言はかなり意外であり、そのことについてもグループ内で議論が行われた。自動化と雇用への影響については、日本でもオーストラリアでもかなりの議論があるが、日本は高齢化が進み、人口に対する労働力人口が減少しているため、自動化を受け入れざるを得ないのではないかと考えられた。一方、労働市場の逼迫度がかなり低く、失業率が高いオーストラリアでは、セルフレジへの移行などが、導入後数年経ってもかなりの波紋を呼んでいることが指摘された。私たちは、司会者を含む産業界が、自分たちの技術に対する抵抗を最小にしたいがために、不正確であっても人々を安心させる側に回るのではないかと議論した。ソフィーは、テクノロジーによる生産性の向上は、正しく行われれば、例えば週休4日制やUBIのように、特定の人々を失業に追い込んで貧困に陥れるのではなく、人々の労働を減らすことで実現できる、と指摘した。しかし、そのためには産業界の改革や政府の介入が必要なため、それが実現するとは断言できず、そこで、「誰も職を失うことはない」といった決まり文句に頼ることが多いのではないかと考えられた。
富士山研究所では、山本信也教授から富士山の火山活動の歴史についてお話を伺った。博物館では、素晴らしい科学コミュニケーションが実現されていると感じた。地質学的な展示だけでなく、富士山の生態系や動物の剥製も多数展示され、非常時の物資や体験型の展示もあった。また、この博物館には、地球科学に関連するさまざまな資料が揃った図書館があり、テキサス大学やオーストラリア国立大学の学生は、これらの資料が非常に興味をそそるものだと感じた。
また、ガイドによると、富士山周辺に住む地元の子供たちは、教える前からすでに火山灰の被害や溶岩のことについてよく知っていることが多いそうだ。家族の中で話し合われているということだろう。しかし、富士山が噴火した際、富士山周辺地域を超えて広範囲に火山灰が影響を与える可能性があるという。火山灰は風向きによって運ばれる方向が異なるため、被害を受ける地域は予測不可能である。火山灰の影響を大きく受ける可能性のある関東圏の人々も、富士山についてより深く知るべきだと考えた。