東京大学横山研究室

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グループD Diary Day4 (9/5)

●サマリー
4日目は大槌町の「おおつち海の勉強室」や「国際沿岸海洋センター(ICRC)」、「大槌町文化交流センター おしゃっち」を訪れました。「海の勉強室」では大槌町に生息する海の生物の生態や震災前後での生態系の変化を学びました。20人以上の学生が入るには小さな部屋でしたが活発な意見交換があり充実した見学でした。「国際沿岸海洋センター」ではサイエンスコミュニケーションの一環として天井に描かれた海洋生物の作品を入れて集合写真を撮りました。「おしゃっち」ではNGO代表の神谷未生さんに大槌町の復興状況を伺い、どのように復興を進めるべきかについてディスカッションを行いました。

●ディスカッション1
ディスカッション1では、大槌町に新しい防潮堤を建設することについて話し合いました。防潮堤の高さを以前の6.4mにするか、14.5mにするかという2つの選択肢が与えられ、町づくりの視点に立って考えることが求められました。4人が14.5m、2人が6.4mの防潮堤を建設することに賛成しました。UTokyo生とANU生の間で、一貫した意見の違いは見られませんでした。たとえ私たちの文化が異なる価値観を持つ傾向があったとしても、それぞれがこの問いについてどう感じるかは、文化の違い以上に個々人のこれまでの経験が大きく影響していると感じました。Yukako、Chloe、Jasmineは物理的な安全を優先させ、Oshin、Alex、Kaoruは心情的な安心を優先させました。しかし、防潮堤の建設にかかる費用を町の避難路の整備に回した方がより良いという点では全員が同意し、お互いの立場を理解する事ができたと感じました。

●ディスカッション2
ディスカッション2では、大槌町の被災した建物を取り壊すか、取り壊さないかという問題が問われました。この課題を経て、それぞれの意見をまとめることよりもそれぞれの人のバックグラウンドを理解することの重要性に気づきました。UTokyo生とANU生の意見や理由には、今回も一貫性がなく、全員がそれぞれの意見を持っていました。また、お互いの立場を理解することはできましたが、この問いに対して考えを変える人はいませんでした。震災による悲しみを和らげる思いは皆同じでしたが、Oshin、Yukako、Jasmineは、町の人々のトラウマが残り続けないようにすることを優先し、Chloe、Alex、Kaoruは、震災の悲劇の大きさを忘れないようにすることを優先しました。お互いの意見を理解することはできましたが、正解は見つかりませんでした。

●個人的振り返り
防災管理や災害対応は私の研究トピックの一つなので、今日は私が振り返りをしたいと思います。私は日本人として、また防災について学ぶ一学生として、東日本大震災についてある程度の知識を有しているつもりです。被災の規模や個別の話を聞くと心はもちろん痛みます。ですが、これらの被害をあくまで研究の一対象、「ケース」として捉えていたことは否めません。今日改めて震災について話を聞き、町役場の職員の記録を読んで、強く心を動かされました。町職員の30%が亡くなった、という数的事実の背景にある被災された一人一人の人生を意識してこなかったことに気付かされたのです。ですが、こうしたケースを研究対象として扱うからこそ、これらを感情的に捉えることも忘れてはいけないと感じました。今回話を聞き、文書を読み、精神的に疲弊しました。だが、これは自分にとって重要な体験となったと切に感じています。あらためて自身の研究が防災に資するものになるよう、決意を新たにした次第です。

               

Yokoyama Lab,
Atmosphere and Ocean Research Institute,
The University of Tokyo

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