東京大学横山研究室

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グループC Diary Day3 (9/4)

要旨(サマリー)
今日、柏から福島に移動しました。そして、東日本大震災・原子力災害伝承館と東京電力廃炉資料館を見学しました。東京電力廃炉資料館では、廃炉と、震災やメルトダウンによって発生したがれきの処理の進捗について学びました。

振り返り
以下は、私たちが一日を通して考えたトピックや質問と、それについて一緒に話し合った内容です。

福島第一原発の爆発について、事前に何を知っていましたか?
グループの中で、元々の福島第一原発の事故に対する理解の程度は、一人一人大きく異なっていました。この差異が、議論の中での感情的な反応に大きく影響しました。グループの中で、地震の後に水と電気が使えない状態で何週間も過ごした人がいました。その人の住んでいた町では、住民の間に放射性物質に関しての不安が広がり、東京電力の対応に怒りを露にする住民もいました。東京電力が不透明な説明をし、初期段階での情報提供が十分になされなかったことが、住民の怒りを大きくしました。別のグループメンバーは、地震の長時間にわたる揺れと、ほぼ1週間続いた余震を鮮明に覚えています。しかし、東京では放射線に対する懸念はそれほど強くありませんでした。さらに、中国が処理水の放出に対して批判したことが、日本の世論に影響を与え、広がる中国への感情も一因となって、日本の人々はこの状況をより受け入れやすくなったようです。一方で、オーストラリアの学生たちは、この出来事についてあまり詳しく知らず、オーストラリアのメディアで報じられた情報だけに基づいていました。

感情的な反応はどの様なものでしたか?
TEPCOは責任を取りたがらなかったため、日本の人々、特に福島周辺に住んでいた人々は激怒しました。私たちのグループの中には、このことをよく知らない者もいました。TEPCO廃炉資料館では、「[TEPCOの]安全性に対する自信は、単なる傲慢と過信であった」というような発言を通して、TEPCOが責任を取っていることを示していました。あるグループメンバーにとっては、この博物館を訪れるのは今回が2回目であり、時間とともに彼の感情は変化していきました。最初の訪問では、建物がどれほどひどく破壊され、人々がどれだけ打ちのめされたかに圧倒されていました。しかし、時間が経つにつれて、彼はより理性的になり、地域を改善するために行われた取り組みに注目するようになりました。彼は「福島イノベーション・コースト構想」が福島の未来をどのように創り出すのかを楽しみにしています。

福島を再建するための取り組みはどの様な効果を生じましたか?そして、それについてどう思いましたか?
福島を再建するためのさまざまな取り組みを見ることは、とても希望に満ちていて刺激的でしたが、まだやるべきことがたくさんあることもわかります。今日取り上げられた多くの取り組みの中には、私たちが学んだ安全策を導入し、地域の農業、ビジネス、インフラ、技術に投資することで地域社会を再建するというものが含まれていました。日本の学生たちは、「道の駅」という施設を教えてくれました。これは比較的利用者の多い道路にそって設けられた小さな休憩所(小規模な地元のビジネスが集まっている場所)を指し、福島やその周辺地域が再建を続ける中で多く見られるものです。しかし、この再建がゆっくりと進行しているプロセスであり、まだ多くの時間が必要であることも見て取れます。バスの中からでも、放棄されて草が生い茂った建物や土地、そして東日本大震災以来、ほとんど手つかずのままの瓦礫がまだ残っているのが見えました。

大災害の後、この地域への観光客数は5,717万人から3,521万人に減少し、2,000万人も減少しました。しかし、イノベーションや新しい観光地(東日本大震災・原子力災害伝承館など)の設立、そして放射線量を他の都市と比較して風評を払拭するなどの取り組みによって、2018年には観光客数が元の水準に近づき、5,634万人に増加したことは非常に印象的だと思いました。

同規模の災害が再び発生した場合、どのようなことが起こるのかを考えてみてください。彼らの対応策や予防措置は十分に効果的でしょうか?
地震や津波による被害を軽減するためには、いくつかの予防策があります。すべての建物を最新の建築基準に準拠して建設・改修すること、そして、新たに14メートルの防潮堤を設置したことで、東日本大震災の際と同規模の津波に対して十分に防護できます。これらは必要な対策です。これに加えて、既存のインフラだけでなく、地域社会全体を守るためにさらに多くのことが行われるべきです。

東日本大震災・原子力災害伝承館の展示には、「国会報告書によれば、原発の建設は『建設当時の地震学的知識に基づいて…40年前に』行われた」との記載がありました。建設時の想定を超える津波の可能性が高いことを「研究者たちが繰り返し指摘していた」にもかかわらず、原発はその後の研究に基づいて更新されませんでした。私たちは、同様の災害に対する効果的な予防策と対応のためには、現代の研究に沿って、建設が定期的に更新される必要があると考えます。

               

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