東京大学横山研究室

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グループD Diary Day5 (9/9)

午前中は、東日本大震災遺構・伝承館を訪問した。私たちは実際の津波の様子を撮影したビデオを見た後、旧向洋高校の校舎を見学した。津波の第一波は南校舎に押し寄せ、校舎4階の床上25cmまで達し、津波によって流されてきた冷凍工場が校舎4階部分に衝突したという。校舎内には冷凍工場の断熱材として使われていたスポンジや付近の国道から流されてきた自動車などのがれきが当時のまま展示されており、私たちは津波の威力のすさまじさを目の当たりにした。

ガイドの佐藤さんが強調していたことは、「災害には上限がない」ということである。ハザードマップで安全とされている避難施設であっても、必ずしも安全とは限らない。過去の経験やハザードマップの情報に頼りすぎず、自ら判断することの重要性を痛感した。また、佐藤さんは震災から8年が経過した2019年においてもかつての市街地の多くの場所を空き地が占めていることから、災害発生後の復興計画を定めておく必要性についても触れていた。大震災後、災害発生後の復興のための事前準備に関するガイドラインが国交省によって作成されたが、そのことを知っている人はあまり多くないように思う。私たちは今回の見学を通じて、災害対策においては災害の発生を防ぐことや減災だけではなく、いかに復興するかを考えることも重要なのだということを学ぶことができた。

最後に3月22日に行われた卒業式での卒業生代表答辞の記録映像をみた。知り合いを亡くし、住むところも日々の平穏も失ったであろう中で、声を詰まらせながらも答辞を読む少年の様子に胸を打たれた。

ANUの学生と昼食をとる中で、オーストラリアと日本の政治体制についての議論を行った。「部外者だけど日本の政治体制について意見していい?」という前置きの元、自民党一党独裁をはじめとしてさまざまな指摘を受けた他、オーストラリアの二大政党についての話も詳しく聞いた。自国(オーストラリア)の政治を俯瞰してみていること、他国の政治についても強い興味を持っていることに感銘を受けた。

昼食後、私たちは竹駒神社を訪問した。竹駒神社は日本三大稲荷の1つとして知られている。日本人の多くはおそらく狐が神の使いとして祀られていることを知っているが、「なぜ狐が神の使いなのか」と聞かれて、だれも答えられなかった。日本では神社や寺院を訪問することは珍しいことではないが、そこで何が祀られているのか、どのような由来があるのかを知っている人は多くない。

岩沼市民図書館では、図書館内に常設された「ふるさと展示室」を見学した。仙台空港から約1km南方、海岸線から1.2km内陸で行われた平安時代の遺跡の発掘調査で副次的に発見された剥ぎ取り標本では、東日本大震災の津波堆積物のほか、1611年の慶長地震の津波堆積物、915年の十和田火山噴火の火山灰、869年の貞観地震の津波堆積物とみられる層が確認できる。貞観地震と東日本大震災の津波堆積物は下位の泥炭層との境界が明瞭である一方で、慶長地震の津波堆積物では水田耕作の影響で境界が乱され不明瞭になっているという点を興味深く感じた。

そのほかにも縄文時代から江戸時代にかけての展示をみた。特に縄文・弥生時代の土器の変遷はANUの学生からみても技術レベルの向上が容易に理解できるものだったようで、非常に効果的な展示方法だと感じた。またANUの学生からの質問に答える中で理解が深まり、自国の文化と向き合う良い機会となった。

               

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Atmosphere and Ocean Research Institute,
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