東京大学横山研究室

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Group B reflection day 1

1. Tectonics
リスクは、ハザード(Hazard)、曝露する人や物(Exposure)、脆弱性(Vulnerability)、影響力の大きさ(Impact)によって定義される。この4つについて知るためには、それぞれ自然科学、統計などのデータベース、社会科学なども含む調査研究、経済や公衆衛生の知見が必要になる。リスクマネジメントをするために、様々な分野の知識やアプローチが関わっていることは興味深く感じた。

リスクマネジメントにおいて、災害を予測することは重要である。災害予測に関して、科学的根拠に基づくが不確実性が残るということ、予測されるリスクに基づいてリスクマネジメントを行う結果、同じハザードでもそれを受ける社会の状況によって影響の大きさは全く異なるということがわかった。例えば、プレートテクトニクスの理論から、プレートがぶつかり沈み込みが起こるところで地震が発生し、また海水を巻き込んでマグマを生成する。この時同時にできる蛇紋岩は、断層が存在する印となっている。地震は空間的時間的にある程度の間隔を置いて発生するという仮定の下で予測することができるが、完全なものではない。また、同じ規模の地震でも陸の近くで発生するか沿岸部で発生するかによって被害の大きさは全く異なるし、地震が少なくレンガ造りの家屋が多いオーストラリアでは、比較的小さな地震であっても大規模な被害になってしまう。

このように、災害について考える時は対象の地域の自然的、社会的な特性を把握するように注意することが大事なのだなと思った。ディスカッションでは、日本の中でも関西と関東、東北と地域が違えば、地震などの災害に対する感覚も変わるという意見があった。自分の住んでいる地域の環境が当たり前だと無意識に考えがちだが、文化も自然も異なる世界の他の国のことを想像したり、隣の地域と自分の地域をよく比べたりすることによって、視野がずっと広がると感じた。(余田)

2. Economics
コロナと経済

現状の分析
・“stay home”の普及による人の移動の減少が経済活動に影響を及ぼしている一方で、感染者数の増加を防いでいる
→経済活動を促すこととコロナの感染者数を抑えることはトレードオフの関係
・人の移動の減少は、雇用の減少には繋がっていない。一方、仕事の時間は減っている
→ワークシェアリングの普及

支援策
・休業手当-休業している労働者に対して給料の一部または全部を給付する
・企業への持続支援の助成金-一定以上の売り上げの減少があった企業に対する支援
・家賃補助
・一部の銀行は金利0での貸し出しも行なっている

金銭的支援の弊害
・支援金により生き延びる「ゾンビ企業」の発生や、余った支援金による株価の上昇など、意図しない影響も見られた

#個人の定額給付金などもあり、給付金はかなり身近に話題になりやすいことだったにも関わらず知らないことが多かった。給付金はいい面が見えがちだが、一方で意外な影響も及ぼしうることはもっと知られるべきだと感じる。(副島)

3. Analysis of the Motosu Lake beside Mt. Fuji in Japan
〇本栖湖の地質分析

本栖湖は富士五湖のうちの一つであり、現行の千円札や旧五千円札にも描かれている身近な存在である。ところが、実は本栖湖の地質調査を行うことで、「過去にどのような環境変化(“event”)」があったかを知ることができるのだ。

〇方法
地質調査の手法として、Prof. Stephenはコアリング(Hammer piston)を用いることで、湖底の泥土(mud)を、湖底から2mの深さで採取した。このような採取を、湖の様々な地点、また、様々な水深で行い、コンピューターシミュレーションにかけることで泥土に刻まれた環境変化(気候変動や地殻変動など)の痕跡を明らかにしていった。また、いつの時代の泥土なのかという年代決定も行った。この際、植物の葉は、枝よりもfragileなため、年代決定の精度は高いが残存しにくいという特徴があることにも言及されていた。

〇結果
以上の方法で年代決定を行った結果、地質による時代区分の変わり目のタイミングを以前よりも精確に推定することができた。また、従来から年代決定に用いられてきた手法(counting layer)で推定した年代よりも不確実さの少ない結果が得られた。

〇意義
富士山にほど近い本栖湖の地質を調査することで、そこに刻まれた富士山の噴火の履歴や火山活動の変遷を詳細に知ることができる。富士山の火山としての活動の詳細を知ることは非常に重要なことであり、それは万が一、江戸時代に発生した宝永の大噴火のような大規模な噴火が富士山に起こると、COVID-19どころではない甚大な火山灰被害、そして莫大な経済的打撃を首都圏にもたらしてしまうからである。だからこそ、富士山を知り、富士山の火山活動動向をモニターすることは重要なことなのである。(安福)

4. Bushfires
オーストラリアの大火事black summerは気温の高さが大きな理由である。さらにオーストラリアのどの地域かによって火事の起こりやすい時期が違う。しかし、その多くが春から秋にかけてであるが、ここで興味深いのが日本では火事が起こりやすいのは冬であるという点である。なぜこのような違いが生じるのか。オーストラリアは日本と比べ圧倒的に乾燥しているからである、と考えた。従って乾燥している冬に日本では火事が起こりやすい。一方で常に乾燥し続けているオーストラリアでは、乾燥している季節など関係なく、火事は起こりやすく、その中では、気温が高い時期に火事が起こりやすくなっている、ということだと考えた。温暖化が進めば、気温の上昇によって火事が起こる。

日本においても火事は起こる。人類の活動によるものが大きい。その後山火事になったとすると、それにより生じる雲が空に昇り、雨を降らせるが、これで火事が収まらないのか、ということが疑問として残った。一方でその雲により雷などが落ちるとそこから火事が広がることになり、悪循環が続く。

オーストラリアで昔使われていた、火のおこし方が生物の多様性にも影響を及ぼしている。そうしたことに関連して、今までのそうした「文化」と「歴史」を引き継ぐことが火事の防止に有益である。今までどのようにすれば火事を防ぐことが出来たか、やどうすれば適切に火を使うことが出来るかを知る方法としてこれまでの先祖が経験したことを使うのがよいのではないか、ということである。これは日本で言えば、消防団のシステムや江戸時代の家の建て方に見ることが出来るのではないか。つまり、今でも残る消防団は、そのシステムは地域ごとに分けることでより綿密かつ迅速な消火活動が出来るようになった。また、江戸時代には日本の家屋はブロックごとに密集させ、そのブロックを大きな道を挟んで作っていくことで火の広がりを防ぐという「歴史」から学んだ「工夫」があった。(黒田)

5. Tropical Cyclones
熱帯低気圧(台風, ハリケーン…呼び名が異なるだけ)は急速に回転して激しい暴風雨を伴う低気圧の系である。2005年のHurricane Katrinaは1800人の死者, 1250億ドルの損失を伴い, 現在も再建設中の地域があり, 2019年のTyphoon Fuxaiは50億ドルの損失があり10万人以上の人が避難したなど大きな損害を伴うことも多い。その発生は主にコリオリの力(大気はコリオリの力によって渦を巻き始めるので北半球と南半球では渦の向きは逆になる)と海の温度(に伴い変化する水蒸気の供給量)に左右されるため熱帯低気圧がみられる地域は限られる。たとえばコリオリの力の弱い赤道付近で帯状に熱帯低気圧がみられない地域がみられ、また海水温度が低く十分に水蒸気の供給量のない極付近でも熱帯低気圧はみられない(統計をとってみると海水温度が28〜29℃の地域で主に熱帯低気圧が観測され、26℃以下の地域では熱帯低気圧は観測されない)。これに関してはかなり狭い温度範囲に限定されることを知って意外に感じた。

オーストラリアは地球上で非常に乾燥した地域に分類されるが、歴史上常に乾燥していたというわけではなく, プレートテクトニクスによる北上によってその気候は変化してきた。なおオーストラリアでは北部及び南部・東部に比較的降水量の多い地域が存在するが, 台風によって降水量が多くなっている地域(主に北部)と一般的な雨によって降水量の多くなっている地域(主に南部)では1度に降る降水量が大きく異なる。つまり, 前者は1度に多くの降水量があり後者は少ない。一口に降水量と言ってもその降り方にはさまざまあるということは, 考えてみれば当然ではあるがグラフでみることによって再認識し興味深く思った。

堆積物の調査によると、オーストラリアでは台風により雨が多く降る年代と乾燥した年代が周期的に繰り返されている。その判断基準は堆積物の元素組成によっており洪水による堆積物と風で運ばれる粉塵による堆積物ではZr/Fe/Ti/Caなどの組成が特徴的に変化するという事実を利用している。元素組成を調べるために利用しているのがXRF(蛍光X線分析)である。この周期的な繰り返しにおいて繰り返しのピーク時の組成がこの12万年の間変化していないことは興味深い事実である。なお、今後は台風の頻度は少なく, 1つの台風の規模は大きくなることが研究者によって予測されている。

XRFについては高校のときにサハラ砂漠, 城ヶ島, ナミブ砂漠の砂の組成を調べるのに用いたことがあるが, このときはその結果をその堆積物が存在する(した)環境の違いの指標にしたわけではなかったため, そのような利用法があることを知って大変興味深く思った。なお, XRFについて先学期の授業で簡単に学んだことをまとめておくと, これはある元素が吸収および発生することのできるX線の波長が元素に固有であることを利用して, 試料にX線を照射し, 発生する固有の蛍光X線の波長を調べることでその試料に含まれる元素を定性分析し, またその波長における発光量を調べることでその試料に含まれる元素の定量分析を行う手法である。X線を用いる定性及び定量分析にはさまざまな種類があるので, XRFの他になにか環境の分析のために用いられている手法があるのかについても知りたいと感じた。
(蒲池)

               

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