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固体地球の変化と表層環境変遷

氷期に存在した氷床は、厚さ3kmにもおよび表層環境に様々な影響をもたらしたと考えられます。その後、氷という巨大な“荷重”がとりさられることにより、地球は変形し海水準の変動などを引き起こしました。山脈の形成-気候との関係についての研究もスタートさせています。

マントルの粘性決定 ― 氷床の荷重で地球が変形

地球は粘弾性体であるため、長期的な荷重にはゆっくりと変形します。表層に展開した大きな荷重、例えば厚さが3kmもあるような巨大な氷床や、それが解け出して海洋に流れ込み、世界中の海水準を130mも上昇させるような海水などによって、いわばサッカーボールのように変形するのです。

そのような固体地球の変形を観測-解析することによって、マントルの粘性がどれくらいか推定することが可能です。特に過去13万年間の地殻均衡(アイソスタシー)による地殻変動を正確に見積もることにより、上部および下部マントルの粘性構造を決定することができるため、主にこの期間を研究しています。
今から2万年前と1万年前の北部オーストラリア。巨大氷床が北半球に存在していた為、世界の平均海水準が約130m低かったため、ここには巨大な湖が存在していた。

地球表層プロセス ― 気候変動が山脈形成のトリガー?

ここ10年間の分析化学の発達によって、地球表層に届く微弱な宇宙線と岩石鉱物中に含まれる元素との相互作用によって生成される放射性核種を測定することができるようになったことから、10Be, 26Al, 36Cl, 14C, 3He, 21Neなどの核種を使って、地球表層に残された過去のイベントを定量的に議論できるようになりました。

現在、太平洋の周りに広がる、テクトニックにアクティブな地域をフィールドワークを含んだ総合的な研究を行っています。 ここ数年力を入れて研究している地域は、南米チリのアタカマ砂漠です。


近年、南米・チリ・アタカマ砂漠とアンデス山脈地域において、アタカマ砂漠の乾燥化(気候変動)が、アンデス山脈の隆起(固体地球の変化)を引き起こした、という可能性が示唆されました。しかしながら、この因果関係を実証するような、乾燥開始のタイミングや発達過程に関する情報は、非常に少ないのが現状です。例えば乾燥化開始のタイミングは、約35-14 Maという非常に大まかな年代しか分かっていません。

私達は、アタカマ砂漠のうち、極度に乾燥した地域を対象として、宇宙線照射年代測定法(10Be、26Alの分析)を用いて、乾燥開始時期を精度良く決めようとしています。さらに、経度に沿って高密度に乾燥化発達過程を復元することで、「アタカマ砂漠地域の乾燥化が、アンデス山脈の隆起速度を加速させたかどうか」、「乾燥化の発達過程において、どの時期にアンデス山脈の隆起に影響を及ぼしたか」を明らかにしようとしています。