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太陽活動と地球磁場変動

銀河宇宙線と大気との相互作用によって生成される核種(10Be、14C、26Al、36Clなど)は、過去の地球磁場変動と太陽活動の変化を記録しています。氷床コア、海底・湖沼堆積物、樹木年輪中のこうした極微量核種の分析を通して、これらの変動機構の解明について明らかにしようとしています。

さらに、太陽活動に関しては、1%に満たない日射量の変化は気候変動にほとんど影響を及ばさないと考えられてきましたが、日射量ではなく銀河宇宙線の到達量の変動が気候と関連している事が、我々の研究から明らかになりつつあります。地球磁場と気候の関係もスタートさせています。

宇宙線生成核種による変動史復元 

銀河宇宙線入射量は、太陽活動度と地磁気強度の関係から決まります。これは、太陽活動に由来する磁場・太陽プラズマと地磁気の双方が地球を覆い(左図)、銀河宇宙線の大気圏侵入をコントロールしていることに由来します。つまり、太陽活動が活発なほど、また地磁気強度が大きいほど銀河宇宙線の侵入が減ります。

宇宙線生成核種(10Be、14C、26Al、36Clなど)は、銀河宇宙線が大気上層の気体分子(窒素、酸素など)と反応することで生じる、極微量核種です。私たちは、海底堆積物コア(右写真)や湖底堆積物コア、氷床コア、樹木年輪などに含まれる宇宙線生成核種を、加速器質量分析計(AMS)を用いて分析することで、過去の太陽活動や地球磁場の変動を復元しています。


例えば、南極ドームふじの氷床コアや、水月湖の堆積物コアの10Be分析からは、約4万1千年前に地磁気が弱まったイベント「Laschampエクスカーション」が、10Beのピークとして明瞭に検出されました。南極氷床コアに関してはさらに、26Al、36Clも分析して、イベントを詳細に調べています。

また、樹木年輪の14Cや、氷床コア浅部の10Beの分析からは、「マウンダー極小期」(AD1645-1710)など太陽黒点が見られなかった期間の、特異的な太陽活動変動を、年スケールで調べています。最近では、約2万年前の最終氷期極相期(LGM)の太陽活動変動を、樹木年輪14Cから調べる研究をスタートさせました。

古地磁気記録と宇宙線生成核種を組み合わせて、地球磁場と太陽活動の変動を分離したり、古地磁気記録の特性を調べる研究も、スタートさせています。

銀河宇宙線と気候変動の関係

近年、太陽活動の変動と、地球における気候変動の関係が議論されています。太陽活動と気候変動が相関するメカニズムとして近年注目されているのが、銀河宇宙線入射量と雲量が関係しているというアイディアです。銀河宇宙線入射量には、太陽活動だけでなく地球磁場の変動も反映されるため、地球磁場が気候に影響してきた可能性も指摘されています。

私たちは、上記で紹介したような太陽活動・地球磁場変動の復元データと、当時の気候変動の復元データを比較することで、銀河宇宙線が気候に影響を与えうるのか、どのような関係性を持っているのか、調べています。


例えば、樹木年輪に関しては、酸素同位体比(d18O)の分析から、湿度や降水量といった気候データを週~年スケールで復元できます。私たちはこの手法を、北海道大学と共同で、上記で紹介したマウンダー極小期やLGMなどの樹木年輪に適用して、14Cによる太陽活動変動のデータと直接比較することで、両者の関係を探っています。

さらに、人工衛星による雲観測データの解析も行っており、銀河宇宙線が気候に影響するメカニズムの詳細を探っています。