東京大学横山研究室

東京大学横山研究室

Group D reflection day 2

セミナー2日目の今日は、「地学」、「富士通におけるAI技術」「漁業科学」「哲学と科学」について4つの講義を受けた。

最初にANUとキャンベラの紹介があった。キャンベラが都市として設立されたのは1913年。面積が大きく、建物や施設を作るスペースがたくさんあるため、日本の都市のような高層ビルは少ない。また、都市の周りが自然に囲まれていることから、野生動物と出会うのも珍しくはないと言う。ただ、同じチームにいるオーストラリアの人によると、簡単に動物が入ってこないようにするため、しっかりとフェンスなどで塞いでいるとのこと。ANUは、研究重視の大学で、講義や座学よりも研究・実験の方が多い。また、とても国際色が豊かであり、学生の1/3が留学生だと言う。それらのこともあって、世界大学ランキングでは13位だった。

これまで地学の話はたくさんあったが、今回のDavid Heslop教授の講義では私たちが普段意識しない宇宙に関連したジオハザードの話が出てきて興味深かった。Magnetic fieldは太陽から降り注ぐSolar flareの挙動を変化させることで私たちが直接それに晒される危険性から守ってくれているが、地磁気逆転の現象が起こる過程でMagnetic fieldが弱化する。すると、Solar flareによってオゾン層が破壊され、私たちは膨大な放射線をあびる危険性に晒されてしまう。これまでに、地磁気逆転の現象は100万年に2〜3度起きていると既往件研究によって報告されている。この地磁気逆転の現象は、生活基盤となっている電力系統を乱す可能性があり、毎日スマートフォンから当たり前のように情報を得ている私たちの生活に大きな影響を与えることが考えられる。地磁気逆転をモデル化は膨大な計算が必要であり、スーパーコンピューターを用いても140億年かかるため、そのメカニズムや現象の原因などは未だに分かっていない。sedimentsやrocksの微量元素を分析し、いつ地磁気の逆転が起こったのかが分かるという話だったが、どのような微量元素やどのような分析を経てその発生時期が明らかになるのかが気になった。

富士通の講義では、スーパーコンピューターなどの技術がどのように扱われているのかの話を伺った。特に、富士通が東大、東北大、川崎市と共同で行ったKAIZEN projectの話が興味深かった。災害が起きたときに、災害・避難所の状況などを把握するためのアプリがうまく動くかどうか、アプリを使用している人としていない人からのフィードバックを分析することによってデータを分析し実用化に向けて開発している。例えば、アプリの目的として公共機関だけでなく一般人からも情報を投稿できるようにし瞬時に状況を判断できるようにすることで、公的機関が助けるだけでなく個人同士が助け合えるようにする役割も果たした。

スーパーコンピューターは多くの小さなコンピューターが組み込まれ、統合されて働くもの。使用目的は医療、気候予測など多岐にわたる。8回ほど世界一になっている。電気使用量は京のときと比べ2倍になったものの、仕事量が増えたため、結果として仕事効率が劇的に向上した。

漁業科学の話。授業のメイントピックは、科学とステイクホルダーの連携の重要性を念頭におかなければならないということだった。途中で、最後にhealthy oceanとは?という質問がでた。

一口に’healthy’と言っても漁業者なのか、観光に関わる人なのかなど立場によってその意味合いは変わってくる。研究をする時や政策を考える時などはその土地の人たちなど利害関係者との関わりも考えながら活動していく必要がある。

オーストラリアの海洋科学者になったときにco-design,co-deliverにどのように貢献でじるか
・オーストラリアの海洋の問題
→サンゴの白化
・それによって困る人
→漁業者、観光客向けの商業を展開する人
・どのような方法が考えられるか
→インドネシアの例のようにモニタリングをお願いする
漁業者に水質調査をお願いする


Figure. 1 Another group photo from Group D!

4つ目の講義は、哲学と科学に関するものだった。1つ目の質問は、AIが人間のようにマインドをもつようになるかだった。賛成、反対両方の意見が出た。賛成派の理由は技術が格段に進歩していることで、一方、反対派の理由はマインドの捉え方の違いにあった。マインドを感動など人間と全く同じオリジナルのものと捉えると、AIが人間のようにマインドを持つことは考え難かった。その後、肯定する立場の説明があったが、そこでは痛みや感情、意識を機能主義の立場から捉えていた。反対の立場だったが、この説明は1つの考え方として納得できた。例えば、痛みを感じるとは、身体のダメージによって引き起こされる状態であり、その状態から脱することを望む状態にある。

2つ目の質問は、The Chinese room argumentに対して賛否を問うものだった。その後、肯定派の立場の説明があった。部屋の中にいる人自身は中国語を理解していないが、人と部屋を合わせたシステムとしてみると、中国語を理解しているといえる。これは人間の脳だけでは中国語を理解していないが、人間としては中国語を理解しているのと同様である。

3つ目の質問はマインドをもつ機械を作るべきかどうかというものだった。これに対しては否定派の意見が多かった。理由としてはAIをコントロールできなくなる、作る人によってバイアスがかかってしまうなどがあった。講義では、マインドをもつ機械を作ることで予想される問題として、新しい形の奴隷になってしまうなどがあった。その改善策としてethical AIを作るというものがある。しかし、これにも人間のモラルとして何をAIに学ばせるかなどの問題がある。哲学と科学は簡単には解決しない問題なので、引き続きディベートをしていく必要がある。

               

Yokoyama Lab,
Atmosphere and Ocean Research Institute,
The University of Tokyo

5-1-5,Kashiwanoha,Kashiwa-shi,Chiba 277-8564 Japan

               

Phone: +81-80-7130-1438

   
Copyright © 2024 Yusuke Yokoyama Lab. All Rights Reserved.
トップへ戻るボタン